9.




目を開けると見覚えのある天井が視界に入ってくる。

気付くと自宅のベットの上だった。

(夢・・・?)

上半身を起す。

服装は制服のままだった。

窓から外を見ると随分と日が昇っているようだ。

(確か今日は土曜日よね・・・・)

まだぼぉっとしている頭をひきずって麗利は制服を脱ぎ私服に着替えた。

(あれは夢だったのかしら・・・?でも・・・でも・・・)

部屋を出る。

喉がカラカラだ。

(牛乳あったっけ・・・?)

居間゙を抜ける。

「お早う、麗利ちゃん」

「おはようございま〜す」

台所へ行き、冷蔵庫を開ける。

「あったあった」

牛乳パックをとりだしコップに注いでぐっと一飲み・・・・・・・・・・・・

したところでごふっとはしたないことに吹き出してしまった。

「なっ!?なななななっ・・・・・・・・・・・・!!!!!!!」

口を拭き慌てて居間へと引き返す。

そこにはテレビをみながらのほほんとしている暁美と流の姿が・・

「何でここにいるんですかっ!?」

「あっおはよ〜麗利ちゃん。よく寝れた?」

のほほんとお茶をすすりながら流がきいてきた。

「はいもうぐっすりと・・・じゃなくてぇ!!」

「それにしても麗利ちゃんこんな広いとこに一人暮らし何だぁ。いいなぁ〜・・って痛っ!!」

「流、アンタは少し黙ってなさい。麗利ちゃんが困ってるでしょ。私が説明するから」

暁美の言葉(というか頭に振り下ろされた拳骨)に流は沈黙した。

「麗利ちゃん、こっちにきて」

その言葉に誘導されるようにゆっくりと麗利は暁美の側に腰を下ろした。

「麗利ちゃん、昨日の夜のこと覚えてる?」

昨日の。ヨルの・・・出来事。

ユメのようで妙に現実感のあった・・・

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい。覚えてます。」

「そう。麗利ちゃん、アレは確かにあったことよ。昨夜の出来事は全部現実。夢なんかじゃないわ。

いい?」

不思議なことに麗利その言葉に安堵し、こくりと頷いた。

夢であって欲しかったけど夢でなくて良かったとも思っている。

そんな麗利に満足してか暁美は硬かった表情を僅かに和らげた。

「今からあなたにすべてを説明するわ。とても現実とはおもえない夢物語のような話なんだけれど・・」

「大丈夫です。私、先輩達の事信用してますから」

にっこりと笑って応えた麗利に暁美は破顔した。

「ありがとう、だから麗利ちゃん大好きなのよ」

そういうと暁美は再び真剣な顔に戻って語り始めた。











気付いてるとは思うけど昨日あなたを襲った男、アレは"人間”ではないの。

アレ―・・"羅近"って名乗ってたあの男はね、"鬼”なの。

ほら、よく昔話とかで出てくるでしょう?赤鬼とか青鬼とか・・・

アレはただのお話じゃない、昔から"鬼”と呼ばれた存在は確かに存在しているの。

他にも"妖怪”とか"悪霊”とか呼ばれてるものもしっかりと存在するわ。

まぁ、そういう"妖の者”と呼ばれる存在もひっくるめて私達は"鬼"ってよんでるんだけど・・

で、そういう人間に害をなすモノ達を調伏―・・もとい退治するのが私や流みたいな"鬼狩り”って

よばれる一族なの。

ちゃんとそういうのを専門とする一族が昔からこの国には存在してるのよ。ふふっ・・凄いでしょ?

そりゃ表立っては知られてないけど、一族は全国に広く分布してるわ。

歴史も古いから結構大きいのよ。私と流はその分家の子供なんだけどね。

後、雪ちゃんや裕くんも分家の子ね。京介さんや滝くんは本家の子供よ。

あっやっぱり驚いた?

うふふふ、そっ、生徒会は親族の集まりなのよ♪

ついでに言うとね、辰波学園は全校生徒の約三分の一が"鬼狩り”の血縁者なの。

学園が建ってる場所。あそこは場所がいいのよ。聖域っていうのかしら?”鬼"の類が近づけない場所

になっているのよ。

だから常日頃"鬼”に恨まれている"鬼狩り”の一族の者が完全に力をつけるための隠れ家ってとこ

かしらね。

でもね"鬼狩り”の一族に生まれたからって誰でも"鬼狩り”になれるわけじゃない。

やっぱり生まれたときからの資質って言うのが大事なのよねぇ。

"鬼”を退治するからにはそれ相応の力を持っていなければあいつらと闘うなんてできない。

"鬼狩り”の仕事っていうのはね、大げさに聞こえるかもしれないけど常に死と隣りあわせなの。

力があるものは最前線で闘い、力がない者は表の世界で私達をサポートする。

それが私達一族。

そして力ある"鬼狩り”の中でも現・生徒会メンバーは"選ばれし運命の子”といわれているわ。

それはね私達はかつて鬼狩りの歴史の中でも最強といわれた"七鬼狩り”と呼ばれた者達の生まれ変

わりだから。

前世ってやつね。

私たち−・・いえ、彼等が生きていたのは丁度戦国時代の頃かしら?

その時、一族の中から"鬼”になってしまった大馬鹿がいたの。

それまでは"鬼”たちも組織性がなく個々に群れていただけだったんだけど、その馬鹿が転じた”鬼"が

一気に鬼達を纏め上げて組織化してしまったのよ。

いままでにない”頭”を使って攻撃してくる鬼達に”鬼狩り”も手を焼いたわけ。

そんな時に前線で活躍し、そして最終的には”鬼”の頭である”妖王”を打ち滅ぼしたのが私達の前世な

のよ。

メンバーはその名のとおり全部で七人。

雪ちゃんは”破魔の白霊(ビャクレイ)”

流は”魔刀の隼人”

私は”暗闇の緑妃”

裕くんは”黒風の沙覆流(サフル)”

京介さんは”心眼法衣の般若”

滝くんはその七鬼借狩りのリーダーでもあった”剣(ツルギ)の雷寿”

そして”鬼狩り”一族の宝的存在であった―・・”神魔の鈴鬼那”

それがあなたよ、麗利ちゃん。