目の前には見るものが見れば頭が痛くなるほど大量に積まれた種類の山。 横に目をやると机の上に乗り切らない分の"山"を持ったセスの姿があった。 リーシェは手を休めることをせずに黙々とそれらの書類を片付けていく。 「リーシェ様・・・そろそろ休憩されては如何ですか?」 これで何度目になるであろうか・・セスは気遣わしげに進言してきた。 体調が回復したとはいえリーシェが将軍職に復帰してまだ二日半―・・ その間に彼は床に臥せっていた一ヶ月あまりの時間を取り戻すように寝る間も惜しんで自室にこもり、ただひたすらに 事後処理にいそしんでいたのだ。 「いえ、まだ大丈夫です―・・それよりもセス、貴女のほうこそお休みなさい。無理をして私に付き合わなくても良いのですよ ?まだ傷にもひびくで将にー・・」 「いいえ、ダメです!」 さすがのセスも今回ばかりはひけないようだ。 「それを言うなら将軍も同じではないですか。部下である私が寝てばかりでどうしますか。リーシェ様がお休みにならないの なら私も休み訳には参りません―・・いいいですね?」 鬼気迫るセスの脅し―・・もとい進言にリーシェはうっ・・と言葉をつまらせるとやがて観念したように吐息を洩らした。 「わかりました・・・私の負けですよ、セス。」 リーシェはペンを握る手を止めると、実に一日半ぶりにその席から離れた。 「そうですね。根ばかりつめていてもペースは落ちるばかりです。―・・お茶にでもしましょうか。」 「はい、リーシェ様。―・・宜しければ外へでてみませんか?今ならリオンの花が見ごろでしょう。」 「そう・・ですね。えぇ、ではそうしましょう。庭園いっぱいに咲き乱れるリオンの花を愛でながらの茶会もまた一興。」 「はい。では、すぐに準備させましょう。」 「お願いします。―・・あぁ、そうだ。では準備が整う前に私は少し宰相閣下の所で用事を済ませてきますよ。」 そういってリーシェは机に戻ると一山書類を抱え込んだ。 「リーシェ様、でしたら私が―・・」 「いえ、大丈夫です。それに宰相閣下にも直接ご報告申し上げたいこともありますしね。―・・すぐに戻ります。では、セス 後は頼みましたよ。」 「はっー・・」 そうしてセスの申し出をやんわりと断ったリーシェは隊舎を後にした。 * 薄紫に色づいたリオンの花が視界を埋め尽くす。 すぅっとした香りが当たり一面に漂い呼吸をするたびに肺があらわれるようだ。 「リーシェ様、こちらです。」 セスの呼ぶ声に導かれ、リオンの花畑に囲まれるようにセッティングされた席へと足を向ける。 「今年も綺麗に咲いたようですね。」 「えぇ。庭師たちも今年のリオンはいい出来だといっておりました。」 席に着くとセスが手ずからお茶を入れてくれる。 甘い茶の匂いがふんわりと香ってくる。 口に含み、ゆっくりと嚥下すると丁度いい温かさが胃袋に入っていった。 「おいしい―・・とてもおいしいですよ、セス。また腕を上げましたね。」 「恐縮です、リーシェ様。」 嬉しそうにはにかみ、セスは一礼するとようやく向かい側の席に腰をかけた。 暫く静寂が訪れた。 ふと、セスは顔をあげリーシェのほうを見る。 リーシェはリオンの花畑に目をやっているようで横を向いていた。 あぁ、相変わらずこの人は美しい人だな・・と自分の心の中で称賛しながらセスは気付いた。 違う。花を見ているのではない。 その目はもっと遠い所を見ていた。もっと別のモノー・・・別の"こと"を見ていた。 その目に映るのは景色ではなく、そう・・それは、 ―・・虚ろ 「リーシェ・・様?」 気付けばリーシェを呼んでいた。 「?何ですか、セス?」 対してリーシェは何時もと変わりなく―・・そういつも浮かべる笑みを”つくって”こちらを見た。 軽い違和感。 ふと感じた”それ”にセスの胸が騒ぐ。 「セス?」 押し黙るセスにリーシェは首をかしげた。 名前を呼ばれ、セスははっと我にかえる。 「あっ―・いっいえ・・・申し訳ありません・・ただ・・・」 セスは迷った。どうしよう。何ていおう。―・・何と問おう? 「ただ・・・・・・・お顔の色が優れませんようにみえましたので。やはりまだゆっくりとお休みになられていたほうが良かった のではないでしょうか?」 その言葉にクスッとリーシェは苦笑した。 「心配性ですね、セスは。大丈夫ですよ・・・・・・」 ふとそこでリーシェは言葉を切った。 そしてすぐに笑みを取り戻すとこれまたいつもと変わらぬ優しい口調でこう告げたのだ。 「ねぇ、セス。・・・私が―・・」 リオンの花の匂いを乗せて風が吹いた。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は・・・・・・・・・・・?」 セスは自分の耳を疑った。 今・・何と・・・? いやまさか。そうだ、風の悪戯に違いない。 「あのリーシェ様・・?聞き違いだとは思いますが・・・・・・・・・・今・・」 だが、震え掠れるセスの言葉は続くことは無かった。 辺りに良く響く大きな声に遮られたからだ。 「リーシェ!!」 回廊の方から巨漢をともなって現れたのは南方将軍・ハロルド。 リーシェは立ち上がると笑顔でハロルドを迎えた。 「やぁ、ハロルド。お元気そうですね。」 「"やぁ"ではない全く!お前、我等がどれだけ肝を冷やしたとおもっているんだ。」 「ふふっ・・申し訳ありません。」 「はぁ・・・全く・・」 そのあまりにも変わりのない様子にハロルドは肩をすくめると"しょうがない"といった感じでリーシェが勧めた席に腰を おろした。 「私のことより、お前はどうなんだ?まだ顔が青白いぞ。しっかり食べているのか?―・・あぁ、いややはりお前に聞くのは やめよう。どうせいつものように笑って誤魔化されそうだからな。セスよ、どうなのだ?コレの調子は。」 「おや、ハロルド。随分と今日は意地悪ですね。私が何時誤魔化しましたか?」 「いつもだ。いつも。」 その二人のやりとりをクスクスと笑いながらセスは眺めていた。 屈託なく笑うリーシェに先程までの"影"は見受けられない。 (よかった・・大丈夫よ。えぇ、大丈夫。) ホッと胸をなでおろす。 「リーシェ様は相変わらずですよ、ハロルド将軍。」 「そうか、相変わらずか。―・・ならば苦労が絶えんだろうに。お前も大変だな。」 「えぇ、全くです。」 喉を鳴らしうんうんと頷くハロルド。 それに同意するようにセスも首を縦に振った。 「おやおや、二人して私を苛めるのですか?私は"病み上がり"なんでしょう?」 「ならば、この後のお仕事を全て中断してゆっくりと静養なさってくださいな。リーシェ様は御自身のために時間をもっと割か れるべきです。」 「同感だ。よくよく他人には気を使いすぎるほど使うというのに自分自身を省みなさすぎだ。休め休め。もう半月ほど休んだ って誰も文句は言いはしないさ。」 二人の言葉にリーシェは困ったように笑ってみせる。 「ふふっ、そういう訳にもいかないのですよ。―・・あぁ、いけない砂糖がありませんね。ハロルドは砂糖がたっぷり入った 紅茶でしたよね?」 「うむ」 「あっ、ではすぐに誰かに持ってこさせますので―・・」 「いえ、私が行きましょう。少し身体を動かしたいですし。」 そういってリーシェは席を立つと厨房の方へと足を向けた。 * 砂糖がたんまりと入った瓶を城の厨房から貰い受けるとリーシェはてくてくと一人回廊を歩いていた。 ふと来た道とは違う道を行く。 そして気付けば大分道をそれ、城の西側―・・そこにある忘れられた庭園へとやってきていた。 リーシェはふと笑みをこぼすと東屋へと足を進め、腰を降ろした。 瓶を指で突っつきながら何をするでもなくただ宙を眺める。 頭の中に先程の会話が思い起こされた。 ―・・もっと御自身のために ―・・自分自身を省みなさすぎだ 「私の時間・・・・」 ふとこぼれた言葉にはっとなりリーシェは口元を押さえる。 眉を顰めその言葉をもう一度、噛締めるように呟いた。 「私の時間。―・・私自身のための・・・?」 思えば死の宣告にも等しいあの分化の儀式を行ってから私は一体何を目標に生きてきたのだろうか? ―・・ "生きる"のではなくただ"死"を待つだけのこの命。 自己満足でもいい。 ならばこんな私の命でも"死"が訪れるまでの間に"何かの役"に立てるのではないかと思った。 何かをして、何かを守って、何かのために、誰かのために、この命尽きるのなら―・・ だけどもしかしてそれは―・・ 「馬鹿な。今更・・今更何を考えているんだ私は・・」 何か証が欲しかった。 私が"生きた"という証が。 誰かの―・・誰かの心に残りたかったのかもしれない・・・ だから私はこの命を私じゃない誰かのために使うことにした。 だけどもしかしてそれは―・・ 「何を・・何を・・・」 頭を振る。 耳の奥から聞こえてくるもう一人の"私"の声。 それは―・・ "間違い"だったのではないか? 「何をッ―・・!!」 醜い声が聞こえてくる。 醜い考えが浮かんでくる。 無数の"私"が―・・ ―・・死が怖い? ―・・死ぬのが怖い ―・・生きたい? ―・・もっと生きたい 「五月蝿い・・」 ―・・何故他人のために命を使うの? ―・・限られた時間ならば ―・・限られた人生ならば ―・・もっと自由に ―・・もっと自分のために!! 「五月蝿い五月蝿いっ―・・」 ―・・自己犠牲などただの偽善だよ ―・・もっと素直になればいい ―・・もっと自分の心に正直に ―・・ほら・・ほら聞こえるだろう? 「聞こえない・・聞こえるものかっ・・!!」 ―・・聞いて御覧よ ―・・私のこの心を ―・・お前の心を ―・・"生きたい"と願うのはソレほどまでにいけないことか? 「―・・今更っ」 ―・・叶うならば生きたい。でもそれは無理 ―・・ならば? ―・・ならばどうするか・・どうしたいかわかっているんだろう? 「惑わすな!!―・・お願いだからっ・・これ以上私を惑わすな・・」 ―・・所詮この程度で揺れる心ならば ―・・所詮この程度で揺れる覚悟ならば ―・・最初からそんな"偽善"など持たねばよかったものを 「やめろ・・・お願いだから・・っ」 ―・・誰かの心に残ることがそんなにも大切なことなの? ―・・どうせ裏切られるのに ―・・一人は寂しいんだ 思いがはちきれる。 ガンガンと響く声にリーシェは頭を抱えた。 「黙れ・・・・・黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!!!!!!!!」 ―・・フッ ふっと体の力が抜けていく。 ソレと同時に声も消えていった。 「―・・っ」 泣きたい。 捨てたはずの感情が。隠したはずの"自分"がいた。 じわ・・と目尻にたまる熱いモノ。 それを袖口でごしごしとこする。こすってもこすっても・・・それはとまらなかった。 「・・・・本当に・・なんて私は弱い・・・」 だから気付かなかった。 すぐ後ろに近づいたその気配を。 気付いていたならば今の私はすぐにでも涙を止め―・・その場から逃げていただろうに。 「そこで何をしている?」 「っ!?」 振り返ればそこには周りに溶け込むような薄緑色の髪をもった幼馴染―・・バディがいた。 「バディ・・」 「こんな所で何をしていると聞いているんだ。―・・・・・・?お前・・・」 あぁ・・何故こんな時に彼が来るのか。 何故ー・・今なのか。 彼が近づいてくるにつれて自分の顔が曇っていくのがわかる。 「バディ・・私は・・」 「泣いて・・いるのか?」 珍しくその顔がうろたえたように強張った。 そんな表情を見るのは一体何年ぶりのことだろうか・・ 「お前どうして・・」 近づいてきた手にはっと我にかえるとリーシェはその手から逃れるように後ろへと下がった。 「貴方には・・関係ありません」 拒絶。 いつもは彼のほうが先にその壁を作るが今回は私の方が早かったようだ。 高い高い壁が一気に出来上がる。 それと同時にバディの眉間に刻まれる深い皺。 「関係ないとはなんだ」 「そのままの意味です。何でもありません。なんでもないんです。」 「何がなんでもないんだ!―・・貴様、何を隠している。」 ふと感じる違和感。 突っ掛ってくるのはいつものことだがどうして今日はこんなにも深くまで入り込もうというのか。 「何も隠してなど―・・」 その脇をすり抜けるようにリーシェはその場を後にしようとした。 だが強い力でその二の腕を掴まれる。 デジャヴ―・・遠征前のあの回廊での出来事が思い出された。 「離して下さい!」 「駄目だ。」 拒絶。でも今までとは違う拒絶。 何故? ―・・ほら聞こえるだろ?お前の欺瞞に満ちた心の裏にある声が・・ 疑問と供に浮上する”私” 「貴方にはっ―・・貴方には関係ない!!!」 手を振りほどこうとするもバディの力は前回にもまして力強い。 「―・・っはなしっ・・・!!」 ふわ・・と体が浮いた。 「え?」 「無理強いは感心しないな、西方将軍?」 まるで子供のように抱きかかえられる。 「へい・・か・・・?」 * 突然のことにリーシェは目を丸くするだけだ。 陛下はバディから目を離さないままリーシェを地面に降ろすと、そっと自分の後ろにへとその身体を押しやった。 陛下の出現に驚きを隠せないのはバディも同じことだったようだがすぐに顔を引き締めると陛下の視線を真っ直ぐに受け止 め対峙する。 「陛下」 「バディ将軍、これは一体どういうことだ?」 「陛下、誠に恐れ多きことと存じますがそこをどいていただけませんか?私はリーシェと話があるのです。」 「こいつは嫌がっているみたいだが?」 「僭越ながらこれは我々の問題です。―・・陛下には関係が御座いません。」 「ほぉ?」 バディの言葉に陛下の肩眉がぴくりとあがる。 その顔には不敵な笑みが張り付いている・・だが目が笑っていない。 「ついに頑固者の重い腰が動いた・・・・というわけか。」 「・・・・何のことでしょうか?」 「ふっ・・・相変わらずすかしたツラしてるつもりなんだろうがな・・生憎と今日のツラは見れたもんじゃないぞ?珍しいことだ。 ―・・だがな、俺も譲るつもりはないぞ、バディ?」 「・・・っ」 * リーシェには二人が一体何の話をしているのか検討がつかなかった。 ただ陛下の後ろで眉を顰めるばかりだ。 ―・・何故この二人はこんなにも張り詰めた空気をつくりだすのだろうか? 吐き気がする。 ―・・何故バディは陛下に対しあのように不遜な態度をとるのか? 何も考えたくない。もうこれ以上・・・ ―・・何故陛下は・・・ これ以上私を混乱させないで・・ ―・・ドクン * 「―・・陛下、私には陛下が何を仰っておられるのかよく理解が出来ません。」 「だろうな。お前みたいに何時までも"迷いの塊"である奴にはわかるまい?だが本当はわかっているんだろ?お前は理解し そしてそれに決着をつけようとしている。」 陛下とバディの押し問答は続く。 「だがお前は焦っている。―・・何を焦る?今のお前では最良の結果が得られる確率は限りなく0に近い。」 「っ―・・!!!貴方にはわかるまい!!」 二人の間の張り詰めた空気が最高潮に達しようとしたその時―・・ ドサッ―・・と鈍い音がした。 * 視界が暗転する。 世界が真逆になる。打ち付けた肩が痛い。 胃袋がひっくり返り喉が焼けた。ひりひりする。 「リーシェ!?」「リーシェ!!」 あぁ…そんなに大きな声で呼ばなくても聞こえるというのに… 頭がガンガンとする。 四肢がピン−‥と張り無理矢理引き千切られる錯覚を覚える感触。 全身の皮膚が火にあぶられたみたいに熱い。 多量の汗と痛みによる涙とそして口からとめどなく流れるこの液体がとてつもなく不快 だ。 不快過ぎて気持ち悪い。どうにかしてこの不快をとりのぞけないものか…ぼんやりと頭の 角でそう思った。 うっすらと重い瞼を上げる。 視界がかすんでいる。 ぴくりぴくりと痙攣する自分の指先が見えた。 血が… 最後に見たのは床に流れる赤い血とその中に沈んだ自分の白い手。 私はそこで意識を手放した。 * 人の出入りが激しくなる。 侍医や侍女たちが慌ただしく駆け回り未だに無意識のうちに血を吐き続けるリーシェの看護にあたっていた。 一体どういうことか!?と詰め寄ったセス達だったが今は一刻を争う状態故説明する時間 はない!と逆に侍医の長に一喝 されてしまった。 それ故彼等はただ部屋の外で待つしかなかったのだ。 「あぁ…リーシェ様一体どうして…」 セスは青白くなった顔をわなわなと震える手で覆う。 その横ではハロルドが微かに唸り声をあげながら渋面で立ち更にその横には俯き佇むバディの姿があった。 三人はただすることもなく待つばかりなのだ。 多くの人が行きかう中、回廊の奥から早足で宰相をともなった陛下がやってきたのはそれからすぐのこと。 「陛下っ・・リーシェ様はっ・・・!!!!」 涙をこぼし懇願の眼差しで見上げるセスに陛下は優しく笑いかけた。 「心配するな。ただリーシェの無事だけを祈っていろ。―・・後は俺が何とかする。」 陛下の言葉にセスはこくこくと何度も頷いた。 「陛下。」 「あぁ」 宰相の言葉に促され陛下は部屋の中へと入っていこうとした。 だがふとその足をバディの前で止める。 「バディ」 「・・・・・」 「お前に黙する資格があるのか?」 「俺は・・」 「お前にそうやって項垂れる権利があるというのか?」 バンッ―・・ その胸倉を掴みバディの背中を壁に打ち付ける。 「陛下―・・!?」 「アイツがどんな思いで今まで生きてきたのか知っているのか?いいや知っていたはずだ。」 「・・・・」 ばっとその掴んでいた手を離すと、バディの身体は壁にそってズルズルと崩れ落ちていった。 「もう一度良く考えろ。そしてその中途半端なとこでブラブラしてやがる気持ちをしゃきっとさせろ。―・・そした俺は真っ向から 受けてたってやる。」 口調こそ荒くはないもののその体から溢れ出る怒気に周囲にいたものはぞっと背筋を凍らせた。 陛下の姿が部屋の中に消えていってからようやく周りは動きを取り戻した。 「バディ、たてるか?」 ハロルドがバディの肩を掴みながらたたせた。 バディはただ黙するばかりだった。 ―・・夜の城に深く、そして長い長い夜が訪れた。 Back NEXT |
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