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「ほぅ?今日はそのようなことがあったのですか。それは面白い一日でした
ね、鈴鬼那。」
「はい、兄様。今日は本当に色々なことがあって・・私、南画か目が回りそう
です。」
年頃の少女らしい顔をする鈴鬼那を見て桂はクスクスと笑った。
「多くのことを学ぶのは良いことですよ、鈴鬼那。これからそなたももっと外
の世界というものを見ると良いでしょう。妖の者と闘うばかりでなく・・・・あぁ
そうだ。そなたには"好いて”おる殿方はおらぬのかい?」
「えっ・・・・・・・・・?」
途端鈴鬼那の顔が真っ赤になった。
「そっ・・そんなっ・・!私には好いておる殿方などっ・・おっおりませぬよ!!
まったく何を突然おっしゃるのですか兄様!!」
慌てる鈴鬼名を尻目に桂はクスクスと笑い続ける。
「でも気になっている殿方はいるのでは?」
うっ・・・と言葉に詰まった。
やはりこの兄には勝てない。
「・・・・はい。ほんの少しだけ。でもそれは"恋”とは違う気がするのです。その
方は私のことを妹のように扱われますし、私もその方に対しては兄様を想う気
持ちと同じものを感じているのですが・・」
桂は妹の必死な物言いにこらえきれず大声で笑ってしまった。
「兄様!!」
「っい・・いた・・すまないっ・・許しておくれ・・ははっ・・」
「もう!また笑うのですから!!」
まだまだ子供なのだと桂は思った。
幼い内より神魔の巫女として育てられた彼女にとってそれは仕方がないことだ
が・・
とろんと鈴鬼那の目がなった。
「ほら、もうおやすみ。今日は遊びすぎたのだろう。そなたも年頃の娘なのだか
らもっと自分の体のことも考えなさい。」
「子ども扱いしないで下さい!・・・おやすみなさいませ兄様。失礼致します。」
「お休み、鈴鬼那。」
礼儀正しく兄の部屋を出た鈴鬼那は足取りもままならないまま、一歩を踏みだし
た。
「鈴鬼那様」
「あっ・・龍寿殿。」
廊下の反対側に龍寿がいた。
「お部屋におられませぬから心配致しましたぞ。また御館様の所におられました
か。」
龍寿は鈴鬼那を抱えあげる。
「一人で・・歩けますよ?」
眠たげな鈴鬼那に龍寿はふぅっと息を吐いた。
「どこがですか。御寝所までお運びいたしますから、そのまま寝ていらして結構で
すよ。」
「・・・・・・・は・・い・・」
龍寿に幼い時よりこうやって抱き上げなれている鈴鬼那はすぐに眠りつく。
そのまま部屋に運び、布団に寝かしつけ乱れた髪を整える。
月明かりにその顔は美しく映え、長いまつげが微かに震えている。
紅もささないのに薄桃色に彩られている唇に魅せられ、龍寿はそっと自分の思い
をとげる。
「・・・・・・・健やかにお過ごし下さい。」
*
「そういえば小島先輩のピアスって不思議な色してますよねぇ」
生徒会室で思い出に浸っていた流は麗利に声を掛けられふと我に返った。
「ん?あぁこれ?」
「えぇ。灰色だけどよくよく見ると緑が混ざってるというか・・」
「かっこいいでしょ?」
にっと笑ってみせる。
「はい。凄くかっこいいです。」
流は片手でピアスをいじりながら笑った。
「何の石なんですか?」
「う〜ん・・俺も詳しくはしらないんだけどね・・何せこれもらった石を加工したもの
だから。」
「へぇ・・じゃあそのピアスは世界に一つしかないんですね。」
何気なくいった麗利の言葉に隼人は少し目を見開き、そして満面の笑みで笑った。
「あぁそうだね。世界で一つだけの・・大切な宝物だ。」
「麗利ちゃ〜ん・・って流・・何ニヤニヤ笑ってるのよ。」
暁美が入ってくる。
その顔を見て流はまた笑った。
「べっつに〜。」
そう。お前にもらった世界で只一つのものなんだよな。
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これにて外伝終了です。
あ〜・・なんか微妙な話ですいません・・
とりあえずメインは隼人くんなんですが・・・
鈴鬼那の世間知らずぶりがとことんでまくりですね(汗)
本編の方も頑張りま〜すv
こういうリクエストは大歓迎なんでどんどんリクエストくださいな♪