〜2000HIT御礼小説「天国か地獄か。」番外編〜

彼女の関係。

「雅人くん、話があるんだけど・・いい?」

大学の講義が終わり教材を鞄の中にしまっていた雅人は突然声を掛けられ顔を
上げる。
まだ何処か幼さが残るあどけない可愛らしい顔の彼女の名前は―・・速見由佳。
本人は自覚していないがこれで中々男子に人気がある。

「うん、いいけど。何?」

「・・・ここじゃ話せないの。ちょっと付き合ってくれる?」

そういって彼女は雅人を促すと教室を後にした。
向かった先は人気の無い非常階段。

「で?話って何?由佳ちゃん。」

「あっ・・あのねっ・・」

いつもの由佳らしくない歯切れの悪い喋り方だ。
もじもじと服のすそをいじっている。

「あっあの・・」

白い頬が赤く染まっている。

「何?」

雅人は優しく笑い首を傾げてみせる。
その独自の甘いマスクと仕草で大学一モテる雅人の微笑は見ただけで女子が卒
倒するといわれている。

「あのねっ・・」

俯いていた由佳がやがて意を決したように顔を上げた。
顔を真っ赤に染め上げた彼女の小さな口から可愛らしい高音で告げられる言葉。

-----------それは意外なものだった。

「----・・雅人君っ、いっくんのこと好きでしょっ!!」




"いっくん"こと、鳥越 郁は由佳の彼氏だ。
そして雅人の中学時代からの親友でもある。

「うん、好きだよ。」

雅人は普通にそう応えると、にっこりと笑って新たに言葉を付け足す。

「勿論、親友としてね。」

「嘘!!」

だが由佳は全力で否定した。

「雅人君の"好き"はそっちの好きじゃないでしょ!!私、わかってるんだから!!」

むぅ・・と顔を膨らませ上目遣いに雅人を睨みつける。
まぁ元が元なだけに全然迫力も何もないのだが・・
その様子に雅人は苦笑した。

「何でそういうこというかなぁ?俺がホモだとでもいいたいの?」

「そうじゃなくて!なんていうか・・性別とか関係なく"好き"なんだと思うの。それでそ
の"好き"も友達としての"好き"じゃなくて・・・あぁっもうっ!!とにかく雅人君はいっく
んのことが好きだと思うの!!違うのっ!?」

いっている内に混乱したのだろうか口調があやふやになり最後は強引にまとめた。
雅人はそれをみて再び笑った。
―・・今度は遠慮なく。

「そっそんなに笑うことじゃないでしょっ!!」

「ははっ・・・ごめんごめん。そんなに目くじら立てて怒らなくてもいいから。」

両手を挙げて降参のポーズをとる。

「・・・わかった、白状するよ。」

そこで雅人は人当たりの笑みを消して、不敵な笑みに切り替えた。

「―・・由佳ちゃんの言うとおり。」

ずいっと由佳に顔を近づける。
口元は笑っているが目は細められ逆に怖い。
常人が見たら背筋にぞくりと悪寒が走ったことであろう。

「それで?どうするの?郁にでもチクる?」

だがそんな雅人の様子に由佳は怯える事もなくその視線を真っ向から受け止めた。
その言葉に由佳はむっと眉を顰めた。

「・・・・・・・私がそんなことするとでも思う?」

ふっと雅人が笑った。

「いいや。」

「じゃあ今日から私たちはライバルね。」

雅人の顔が意表をつかれたようにポカンとなった。

「由佳ちゃん・・俺が郁のこと"好き"でもいいの?」

「別によくないけどっ・・でも誰かのこと好きなのを否定するのはよくないと思うわ。」

由佳らしい言葉だ。
それを聞いた雅人は俯いて・・・笑った。
必死でこらえようとしているのだろうがそれは無理なようだ。
逆につまって変な笑い方になっている。

「もうっ!!またそうやって笑う!!」

由佳が赤面してポカポカと雅人を叩いた。

「ごっごめんってば―・・!!痛い痛い。」

少しも痛いそぶりなど見せずに片手で由佳の攻撃を押しとどめながら尚も笑い続ける。
一通り笑い終えると彼は由佳の頭をポンポンと叩いた。

「う〜・・」

「はいはい。俺、由佳ちゃんのそういうところ好きだよ。」

「私、絶対負けないからね。」

由佳の宣戦布告を雅人はにっこりと笑って受け止める。

「俺もだよ。」

「お〜いたいた!由佳ちゃ〜ん雅人〜!!」

階段下から当の話の話題となっている郁が顔を出した。
子供みたいにぶんぶんと手を振っている。

「何だよ〜二人して。俺のこと除け者にして〜・・ずるいぞ〜」

ぷんぷんと頬を膨らませ階段を上がってくる。

「すねるなよ郁。」

雅人は由佳にしたようにその頭をぽんぽんとなでた。

「で?二人して何はなしてたんだよ?」

そう尋ねられると二人はそろって顔を見合わせた。
そして・・・

「「秘密v」」

「なっなんだよぉそれぇ〜!?」

「そんなことはどうでもいいからv―・・いっくんご飯いこっかぁ〜」

由佳はふふふっと笑いながらはぐらかすように階段を下りていった。

「えっ?あっちょっ由佳ちゃんまってよ!!〜〜・・雅人ぉ。」

「安心しろ。多分そんなにやましい話じゃないから。」

「多分!?そんなに!?何だよそれぇっ!?」

はははと笑って雅人も階段を下りてく。

「・・・って、ちょっ!!こら!まてよ!!」

郁もその後を慌てて追いかける。
二人して並んで歩きながら学食へと向かう。
尚もぶつぶつと何か呟きながら郁はふてくされていたがふと雅人が立ち止まった。

「?どうした雅人?」

「なぁ郁・・」

「ん?」

「将来お前と由佳ちゃんが結婚して子供が生まれたら―・・」

「っておいおいおいおい。なんでいきなりそんな話になるんだ・・?」

「何?由佳ちゃんと結婚したくないの?」

「うっ・・そりゃしたいけど・・でも由佳ちゃんはどう思ってるかわかんないし・・」

顔を赤くして言葉に詰まる。

「大丈夫だって。―・・で、話戻すけどお前達の子供が出来たら―・・」

たちどまったまま空を見上げた。
いい天気だ・・

「俺の子供とお前の子供結婚させない?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」

またいきなりだな・・と郁は頭を掻いた。

「まぁ別にいいけど・・・でもまたなんで?・・・・なぁ・・もしかしてお前・・」

郁の顔が不安げになる。

「・・・・由佳ちゃんのことが好きなのか?」

雅人はぷっと吹き出した。

「っっっ!!おい!俺は真面目だぞぉっ!!」

「くくっ・・・・いや・・お前由佳ちゃんと同じこというんだな。」

「ん?何の話だ?」

「―・・いやいや別になんでもないよ。安心しなさい。そういうことじゃないから。俺は二人
とも好きだよ。」

郁の肩を叩きながら足を進める。

「只ふっと思ったんだよ。―・・二人のこと好きだからお前らの子供と俺の子供がくっつけ
ば俺たち親戚になるんだよ?何かつながりが深くなって俺的にはおいしいんですけど?」

「・・なんだそれ。」

「まっそういうことだよ。」

すっと拳を掲げる。

「男同士の約束。いいか?」

「あぁ。いいぜ。」

二人の拳がこつんとぶつかった。

「あ〜でも本人達の意思を最優先にしてくれよ?」

「大丈夫。俺の息子だよ?絶対落とすから。」

「・・・・・・・・・・・なんで息子?」

「家、絶対っていっていいほど男しか生まれないからvだからお前達も女の子つくるように
頑張れよ。」

ぼっと郁の顔が真っ赤になった。

「ははは。郁は純情だなぁ〜。」

「からかうなよ雅人!!」

パコパコと叩かれる。

雅人は笑いながらその痛くもない攻撃を受ける。

受けながら郁には見せないようにふっと不敵に笑った。


さて・・
楽しみだな・・・






                                             
―Fin




天地の親世代のお話です。
実はこの話が書きたいがために天地を書いたようなもので・・・w
やっと灯の親の名前が出てきましたね・・
名前考えるの本当大変です・・(汗)
辞書を片手にひーひーいいながら考えてます。
さて・・子世代のほうはこえから一体どうなることやら・・
番外編はまた機会があれば書きたいですね。
次は灯ちゃんたちのちっちゃなころの話とか?雅人さんご一家が
鳥越家に遊びに来た昔の話とかでもいいかもw
そこらへんはリクエストがあれば書いていこうと思いますv
それではここまでよんでくださって有難うございましたw本編も
お楽しみに!!
2000HITありがとうございます!! 

                                     墺離 拝